目に見えない建物の「中身」こそ外観に表れる
社寺建築は、見た目が立派で美しいことがとても大事ですが、外観と同じぐらい大事なのが「中身」です。中身とは、内部構造のことです。ある意味では、外観以上に大事なことだと言えます。
京都や奈良で、観光の中心になっているような神社仏閣を例に取ると、見るからにカッコいい建物が、何百年も前から、当時の美しさをそのままに残しています。創建した当時の技法や知識、そして宮大工としての誇りが、社寺建築を支えています。そして、流麗荘厳な建物が宮大工の技を次の時代を担う弟子へと、代々伝えられていく事になるのでしょう。
数百年の風雪に耐え、その美しさを維持できている理由は、目には見えない、中身の構造が、高い技術によって組み上げられているからこそです。
緻密に計算された屋根の線
社寺建築の美しさを演出する要素として、すぐに思い浮かぶのは「屋根の線」だと思います。その美しい反り、曲線を支えるには、屋根裏に隠れて見えない部分に、緻密に計算された「小屋組み」を作り上げる宮大工の技が必要なのです。
中身の大切さを説明した後に、あえてもう一つ付け加えたいことがあります。それは、「中身は外見に現れる」ということです。
高い技術で組み上げられた内部構造があればこそ、外見の美しい曲線を造ることができます。
しかし、寸法や見た目の美しさ以上に、職人の誠実な仕事、真摯な心で施工された社寺建築には、得も言われぬ「何か」が表れてきます。目に見える部分としての職人の技術と、目に見えない精神的な部分が醸し出すもの、「オーラ」とでも言うべきものでしょうか。
本物の宮大工
- 見た目の美しさを演出する確かな技法
- 何百年も残る堅牢な構造を支える匠の技と社寺建築の知識
- 外からは見えない中身にまで誠意をもって創り上げる誇り
それらを兼ね備えた職人である「本物の宮大工」であるからこそ、通りがかった人が思わず足を止め、自然と手を合わせてしまうような、本当の意味で立派な社寺建築を創り出すことができるのです。