私が見てきた社寺建築のよくある失敗・トラブル
「本物の社寺建築」の持つ「力」は大きなものです。前回のコラムでご紹介した千葉県の小さな神社のように、本物の社寺建築は「地域の皆様が協力してくださり、人出が増え、地域が賑やかになる」ことを実現できる力を持っているのです。
しかし、残念ながらすべての社寺建築がそうなっていないのも事実です。
私は、宮大工の仕事に就いて、もう三十年を超えました。そんな宮大工人生の中で、何度も歯がゆい思いをしたことがありました。それは「もっと早くあなたに出会っていれば良かった…」というお客様の言葉を聞いた時です。
このコラムでは、お客様が実際に遭遇してしまった社寺建築のよくある失敗やトラブルをまとめました。
社寺建築のよくある失敗・トラブル
建物が出来上がった時は施主様をはじめ、関係者一同「よかった よかった」と、竣工のお祝いをしたわけですが、その後で、問題に気付く事があるということです。たとえば、
- 立て替えてから、わずか数年で屋根の線が崩れてきた
- この廊下はもっと広いほうがよかった
- この窓はもっと大きいほうがよかった
- 改めて他と見比べてみると、自分のところの建物はあまり格好が良くないのではないか
そして、「今更どうすることもできないんだよ」、「もう手遅れだから諦めてるんだよ…」と言われるのです。
実際に、私も現地に赴いて、問題の建物を見てきましたが、確かに、お客様が言われる通り、建て替えないと直せない、改修するとしても、大がかりな工事になるため、金銭的に難しいという事例が何件もありました。
工事を計画するにあたっては、檀家さん、総代さん、氏子さんをはじめ、さまざまな方の中から建設委員会を選出し、何度も協議を重ね、多くの苦難困難を乗り越えた結果、現在の社殿や本堂が出来上がります。
数年で問題がおこるような欠陥工事に遭ってしまったとしたら、せっかくの努力や御寄付も水泡に帰してしまう事になるのです。
しっかりした宮大工にご依頼を
そんな残念な結果になる前に、もし施主様が、「屋根下地はこんな風にすれば丈夫で長持ちする」、「社寺建築に適した木材は美しくて耐久性もあり比較的安価な○○が良い」などなど、社寺建築の基本的な知識を持って、適切に判断できたなら、後になって後悔するような事はなかったと思います。
さらに言えば、そもそも、しっかりした宮大工が施工したならば、お客様に建築の知識がなかったとしても、出来上がったあとにお客様が後悔するようなことは、あり得ないと思います。
個人のお宅において、悪質業者によるトラブルなどはよく聞く話ですが、社寺建築においてもそのようなケースは少なからずあります。
「当社にお任せください」と言って工事を請け負いますが、社寺建築の仕事を知らずに作ったならば、何とか神社仏閣の形になったとしても、完成後まもなく不具合が出るようなことになります。それでも、完成すればまだよい方で、中には、完成できずに途中で投げ出してしまう業者もいたほどです。
個人住宅の場合でも、これは大変な問題であり、施主様の悔しさは計りかねるほど大きいと思います。それが、社寺建築の場合であれば、なおのこと問題は大きいのです。なぜなら、神社仏閣は、多くの方の善意による多額の御寄付で出来た、公共性の高い建物だからです。
社寺建築で失敗した場合には、その多くの皆様の善意を無駄にしてしまいます。そのようなことは、決してあってはならないと、私は強く思います。
予算に合わせた施工方法は必ずある!
工事の見積もりでは、「予算が限られているから、このぐらいの仕事しかできないのです」と言う業者もいるかもしれません。
しかし、少ない予算だったとしても、予算に合わせた施工方法は必ずあります。
また、限られた予算の範囲でも、耐久性や建物の美しさを保ちつつ、最高の社寺建築を造るのが宮大工の腕の見せどころでもあるのです。
私は、たくさんの方々のご尽力によって遂行される神社仏閣の建立において、あってはならない「後悔」をするお客様をこれ以上増やさないために、このコラムを書いています。
また、本物の神社仏閣を建てるための小冊子を無料でプレゼントしておりますので、お気軽にお申込みください。
プレゼントの小冊子は、私自身が宮大工として経験してきたこと、実際の社寺建築の工事において学んできた事をまとめたものです。小冊子をお読みいただければ、社寺建築の工事において失敗しない方法を知ることができるでしょう。
神仏を尊ぶ心が失われつつある現代において、神社仏閣を大切に思う篤志家の皆様の心からの浄財を一円たりとも無駄にしないために、少しでも参考になれば幸いです。