明王院大日堂(千葉県船橋市、真言宗)
明王院大日堂 施工内容大日堂 新築工事 |
施主様の好まれる青森ヒバを生かした落ち着いた色彩と、「線」が命の方形屋根で、重厚な大日堂です。
ご依頼の経緯
こちらの明王院では以前、鐘楼堂と山門の新築工事を請負わせていただきました。それから数年後、新たに大日堂を新築されることになり、ご相談をいただきました。
工夫したこと
今回の工事では、用地登記・確認申請などの役所手続きも必要であったため、まずは設計事務所を含めての施主様との打合せとなりました。
施主様の最初のご要望は「青森ヒバを使いたい」というものでした。「青森ヒバ」は湿気に強く、また害虫も付きにくく、風呂桶やまな板にも用いられるほどです。また比較的安価であったため、一時期は社寺建築の用材としても頻繁に使われました。しかし、そのためか数も減り、建築用材としてまとまった数を揃えることが困難になり、価格も高価になりましたので、最近ではあまり使われなくなりました。
材木の調達には施主様自らが調べてくださり、「現地の材木市場に行けば、まだ原木がある」ということが判ったのです。そこで施主様と私はすぐに青森県に飛びました。そして現地で原木丸太を見て選別し、今回の設計案に適合する木材を調達することが出来ました。
ただし、原木はそのままでは建築用材として使えません。原木丸太は皮をむかなければ虫が付いてしまいます。また乾燥も不十分なため、すぐには使えません。そのため、およそのサイズに製材した後、風通しがよく、雨のかからない場所で保管し乾燥させました。さらに、乾燥期間中のワレを防ぐために背割りを入れました。
「青森ヒバを使いたい」という施主様の熱意と、入念な木材準備の甲斐があって、完成した大日堂は、青森ヒバの特徴である黄味がかった色合いが、重厚で落ち着いた風合いを醸すことが出来ました。
※ 現在では社寺建築に向く青森ヒバは非常に希少な木材となっていますので、社寺一棟分を確保すると、かえって高価になってしまいます。木材価格は材種によって常に変動しています。現在のところ当社では米ヒバ、ヒノキをお勧めしております。